先日仕事中にふと懐かしい洋楽が耳に流れ、タイトルを調べてみたら1990年代に流行ったPaula Cole "I don't want to wait"という曲でした。
一度はテレビ等で耳にしたことがあるのではないかと思います。
私は音楽が突然流れてくるときは何かのメッセージだと思って歌詞を調べるようにしています。調べてびっくり、この歌は戦争をテーマにした歌なのでした。
一説によると、Paulaさんが第二次世界大戦に従軍したお祖父さんに向けて書いたとか。今日はこの歌詞から感じたことを記事にしたいと思います。
主人公は戦時中の若い女性、幼い子供を置いて戦地に向かった夫が帰ってくるのか、毎日居ても立っても居られないという状況から始まります。
結局夫は傷を負った状態で帰ってきますが、年月が経っても戦争の記憶は彼を苦しめています。それを主人公が励ます歌なのです。
サビの部分はどう訳すのが適切でしょうか。
I don't want to wait for our lives to be over. (私たちただ人生が終わるのを待っていたくない)
I want to know right now, what will it be? (どうなるのか 今すぐ知りたい)
I don't want to wait for our lives to be over. (死ぬことなんて待っていたくない)
Will it be yes or will it be...sorry? (それはyesなの、それとも?)
最後のyesというのは、戦争後苦しんでいる夫とこれから新しい人生を生きられるか、という意味なのだと私は解釈しました。
そして最後の歌詞は、こんな感じでしょうか。
You know that if we are to stay alive. (私たちがこのまま生きていられる運命なら)
And see the love in every eye... (みんなの瞳に愛が見えるはず)
この歌詞を読んで色々考えました。
1つは、今も戦争が起きていますが、私たちの遠くない先祖も戦争を体験していて、戦争を直接知らない私たちの遺伝子の中にも戦争の記憶が確かに流れているということです。
戦争については過去記事を書きました。
キネシオロジーのクラスに出て、直接体験していなくても先祖の記憶が潜在意識の中に眠っていたら私たちの意識に及ぼす影響はきっとあるだろうということを感じました。
この歌のYouTubeのコメントを見ていたら、あるアメリカ人男性がこんなことを書いていました。
「若い頃はこの曲に興味がなかったけれど、軍隊に入って海外で参戦した今、この曲がPTSDをテーマにしていることを知って涙が出る。
聞いていた当時は、PTSDが従軍した兵士の家族にどう影響を及ぼすかなんて考えたことがなかった。」
この方は10年かけて少しずつPTSDの状態がよくなっているそうです。
さて、PTSD(心的外傷後ストレス障害)は実際のところ戦争に限られるわけではありません。
どんな人でもトラウマになるような悲惨な出来事を経験すると、日常生活に支障をきたすような症状が現れます。
脳が四六時中警戒モードに入ってしまい、感情のコントロールが難しくなるほか、適切に考えたり注意力を維持することが難しくなります。
身近な経験でいうと、私も昨年勤めていた会社で上司に攻撃に遭い退職に追い込まれた後、新しい会社で仕事を覚えることが非常に困難になりました。
改めてこの歌のメッセージに戻ってみます。
So breathe a little more deeply my love. (私の愛をもっと深く吸い込んでみて)
All we have is this very moment. (私たちにあるのは今この瞬間だけ)
And I don't want to do what his father, And his father, and his father did. (もう彼の父親、その上の世代がしたことをしたくない)
I want to be here now.(今に生きたい)
私たちは意識していることもしていないこともおそらくたくさんの記憶を背負っていて、それが私たちの人生を知らないうちに窮屈にしています。
その記憶から完全に自由になることはできないかもしれませんが、今を感じて今を生きる、今こそ自分の人生を始めたい、そういうメッセージなのだと私は捉えました。
セラピーを通して少しでも意識の中の記憶の鎖から自由になって感じることを取り戻していただけたら幸いです。