前回のブログで、「ゆるし」について考察を述べました。
新しい環境に進みたいのに進めないでいる今の状況とリンクするように起きている股関節の痛みが、自分や他人をゆるせない思考パターンから起きているエネルギー上のブロックではないかと考えました。
また、このようなエネルギー上のブロックが痛みとして現れやすいのが、首肩、腰である考え方をご紹介しました。
首肩、腰について振り返ってみると、ブレインジムで左右の脳とからだを統合するために重要な箇所が頭の位置を定める首と、体幹で全身を支えるために左右対称の協調が必要な肩と腰なのです。
つまり、私たちが健康で力強く生きていくためにはからだの構造をしっかりさせる必要があり、その要となるのが首肩、腰ですが、この部分が環境が変わることへのストレスや抵抗によって影響を受けやすいということなのです。
首の位置や肩や腰の協調に関わるのが、胎児から乳児期にかけての発達段階で出現する原始反射であること、また、先日整体の先生から伺った、ストレスがかかるとスポーツ選手でさえも原始反射が現れることがある、というお話から、原始反射の統合は誰にとっても重要な局面で大切ではないかと考えました。
原始反射とは、胎児期から乳児期の約18か月間の発達段階で現れる反射的なからだの動きです。
主に手足の動き、首の動き、背骨を中心とした上下左右の協調、バランス感覚や運動感覚、空間認知力に関係しています。
この頃は自分の意思でからだを動かせるほど大脳が発達していないため、生命維持の機能を司る脳幹でからだを自動的に反射的に動かしながら、成長していきます。
この間乳児は原始反射に関係した様々な特徴的な動きを繰り返していきますが、中でも「はいはい」は音の聞こえた方向へ振り向いたり、見上げたりすることで、遠近での目の動かし方を身に付けるのに大切な動きです。
そして、自分の意思でからだをコントロールするための前頭葉が発達する7歳頃までに原始反射は統合され、消失すると考えられています。
しかし、原始反射は程度の差こそあれ、誰でも残っているもので、ストレスや加齢によって再出現してしまいます。
そうすると、反射的な動きによって自分の行動を制御できなくなる他、体幹が弱くなって姿勢を保つことが難しくなったり、感情的なストレスを受けやすくなったりする可能性があります。
以下、代表的な原始反射を簡単にご紹介します。
・恐怖麻痺反射:ストレス下で緊張しやすく、呼吸を止めがちになる。その結果、行動を起こすのが難しい。
・モロー反射:刺激に敏感で過剰に反応する。前庭器官(バランス感覚)や体幹が弱い。集中が難しく、ADHDと診断されることがある。
・緊張性迷路反射(TLR): 筋肉の張りが弱く、からだ、特に頭のバランスを取るのが難しい。前庭器官(バランス感覚)や空間認知力に関係する。
・非対称性緊張性頸反射 (ATNR):分娩時の首の動きに関係する。両眼視、からだの左右統合が難しいため、読み書きやスポーツに影響する。骨盤が不安定で、足の長さに左右差がある傾向がある。
・対称性緊張性頸反射(STNR):特に上半身の筋力が弱く、姿勢が悪い。遠近感が取りにくい。過集中または集中が難しい傾向がある。
・ガラント反射:背中や腰がこわばっていて、側弯の可能性がある。上半身と下半身の協調~行動力や、気持ちの安定にも関係する。
・パーマー反射:手指の動き。手を使う時力が入るため不器用になりやすい。
・バブキン反射:手と口の協調に関係する。行動するときに腕や顎に力が入りやすくからだが緊張しやすい。
・プランター反射、バビンスキー反射:足の動き。バランス感覚にも関係がある。
・探索吸啜(きゅうてつ)反射:乳首に向かって頭を動かす反射と、乳首を吸う反射。頭蓋の動きや顎の状態、首と顔の筋肉の張り、発話や滑舌に関係する。
このように、原始反射はからだの構造や無意識下の動きに関係します。
分娩時の状況や、何らかの原因でアンバランスな構造のまま発達していたり、アンバランスな動きを無意識的に学んでいると、からだを動かすときに筋肉を左右対称に滑らかに動かすことが難しくなります。
多くの人は成長していく中でアンバランスな動きを正しい動きとして学習し慣れていき、そのパターンにあった人生を生きていきます。
しかし、いざストレスが起きたり、人生の中で今までと違った挑戦をしようとすると、この無意識的な反射が再出現して心身ともに大きなストレスになります。
その結果、挑戦をあきらめることになったり、思った通りの行動ができなくなって、精神面にも影響が出てしまいます。
からだの構造を変えることは難しいですが、一度学習した動きからより無理のない動きに変えていくことも、多くの場合多大なストレスです。
そこで、ブレインジムでは、発達段階の動きを模したシンプルなエクササイズを行うことにより、乳児期の発達段階を再現して無理のない範囲で新しい動きを定着させていきます。
その時に、目標や言葉によるゴールを設定することで、何のために、どんな方向に、動いていきたいか、動機づけをします。
からだの構造が安定し、動きやすくなれば、精神状態もポジティブな方向へ向かっていくとの考え方から、必要以上に精神面へのアプローチは行いません。
ブレインジムのエクササイズそのものは子どもでもできる簡単な動きが多いですが、実はその動きをしながら、脳と全身への神経伝達に働きかけるという壮大な試みをしています。
そのため、どんなに大きな目標があっても、エクササイズをやり過ぎることは逆効果で、一歩ずつ着実に脳とからだの統合を促していくことが大切です。
当サロンでは、ブレインジムの経験のない初心者や初級者の方向けのメニューと、経験者の方向けのメニューをご用意しております。
初心者の方へは、身近なゴールとシンプルなエクササイズをいくつか体験していただき、セッション後もご自宅でエクササイズを継続していただくことで、ブレインジムとは何かを体感していただくことを目標としております。
こちらのセッションでは、左右、上下、前後の動きの3つの項目を中心にバランス調整を行っていきます。
一方で、ブレインジムについて理解を深め、その後のステップに興味を持っていただいた方にはより深いところにアプローチする経験者向けのセッションをおすすめします。
こちらのセッションでは、呼吸や頭蓋の動きなど全7つの項目に対し、エクササイズに加えてからだの構造や感情面などさまざまなアプローチを行います。より大きな目標に対して、原始反射に働きかけていく深いレベルでの調整となります。
また、脳と密接な関係のある目の使い方を見直すことで脳とからだの統合を図ることを目指した、ブレインジムの「クリエイティブビジョン」のバランス調整を取り入れたセッションを初心者の方と経験者の方向けに内容をアレンジして行っております。
原始反射は発達障がいなど特定の方にのみ関係するものではありません。
人生で大きなチャレンジをしたいと思われる方にこそ、是非一度ブレインジムのバランス調整でご自身の心身のバランスを整えていただけたらと願っております。