今日は、今年初めてのオーストラリアブレインジム協会のオンラインミーティングに参加しました。
ファシリテーターはブレインジム協会のベテランティーチャーGさんです。この方には、2年前新しい環境へ移る前に個人セッションをしていただきました。
ブレインジムの重要なポイントである、意識を広げ気づきを深めるマインドフルネスを体感できるような内容でしたが、今回も「ポリヴェーガル理論」をベースにしたオリジナリティ溢れる勉強会になりました。
ファシリテーターのGさんは、最近「ポリヴェーガル理論」の関する本を読んだそうで、その内容に基づいてブレインジムのバランス調整を提案してくださいました。
ポリヴェーガル理論を日本語にすると「多重迷走神経理論」となり、1990年代に提唱された自律神経系に関する新しい理論です。
迷走神経は12ある脳神経の1つです。呼吸や消化など主要な臓器の機能を司る神経で、全身に広く張り巡らされています。
迷走神経はストレス反応と深い影響があり、ストレスを受けると呼吸が浅くなり、消化が悪くなるなどの影響が及びますが、この理論では特に社会的状況の中で人がどう反応するかを説いているようです。
そして、ストレス反応がどうして起きるか辿っていくと、トラウマがからだに記憶されることにより、自分は安全である、という身体感覚を持てなくなっているからとのことでした。
そこで本日の勉強会では、自分が安全と感じる状況とそうでない状況での感じ方を知ってバランス調整をすることになりました。
人によって安全と感じる範囲は違うもので、例えば周りの騒音がストレスになる度合いも違います。
安全な環境にいれば安心ですが、そうでない環境に移った時、ストレスを解消し、バランスを保つための方法を知っておくことが大事です。
参加者の方からはダンスをしたりガーデニングをしたり、それぞれ自分が好きなことをしているとの声がありましたが、この方法の1つにブレインジムがあります。
そこで、ブレインジムによってどうバランスを保つか、ファシリテーターのGさんからシェアリングがありました。
まず、緑と黄色のサークルを用意し(色分けできれば何でもOK)、安全と感じる状況=緑のサークル、安全ではないと感じる状況=黄色のサークルと設定します。
初めに、緑のサークル(安全)内に立ち、自分が落ち着いている感覚を感じてみます。
ブレインジムでおなじみの上下・左右・前後の動きをチェックして、からだがそれぞれの方向に動きやすいか感じてみます。
その後、黄色のサークル(安全でない)に移ってみると、からだがぐらぐらして落ち着かなくなる感覚を味わいました。
上下・左右・前後の動きをチェックすると、ある方向には動かなかったりしてからだが急に固まってしまうのがわかり、例えば上下の動きでは、上には動くものの下には全く動けなくなりました。
安全でない状況にいると実際にからだのバランスを失ってしまうため、この環境から逃げ出したい気持ちになり、私はストレスを感じる状況を避ける傾向にあることがわかりました。
ここまでが調整前のチェックで、バランス調整として緑と黄色のサークルの中央に立ち、感情を落ち着かせるエクササイズをします。
ストレス下で増えているアドレナリンの分泌を抑え、脳を活性化することで、先ほど経験したからだが固まり逃げたくなる反応を起こさないようにしていきます。
このエクササイズはたった数分で終わりますが、エクササイズの前に自分の感覚をチェックして気づきを深めているため、エクササイズ後の変化が感じられるようになるのです。
エクササイズ後、先ほどと同じチェックを緑のサークルと黄色のサークルに入って行います。
すると、私の場合、黄色のサークル(安全でない)に入ってみると、今度はゆっくりながらもからだを動かしてみよう、という気持ちになりました。
この状態はブレインジムでは「統合されたローギア(low gear)」といい、新しい状況の中で立ち止まったり考えたりしながらゆっくり行動して学んでいくポジティブな状態です。
この段階では緑のサークル(安全)ほどスムーズにからだを動かせるわけではないですが、ゆっくり行動していくうちに少しずつ緑のサークルにいるときの落ち着いて動ける感覚「統合されたハイギア(high gear)」をつかんでいきます。
ゆっくり動いても大丈夫だと感じることができれば、最初は安全でないと思った状況も感じ方が変わり、新しい環境で挑戦し続けることができるかもしれません。
ストレスが多く留まることが適切でない状況からはもちろん逃げることも大事ですが、時には好奇心やチャレンジ精神から未知の世界に入ってみたいと思うこともあります。
そんな時不安を感じてバランスを崩してしまいがちなのは自然なことです。
ここですぐに退くのではなく、留まりながら少しずつ経験を深めていくために、ブレインジムは助けになるのだと改めて実感しました。
以下は、環境を変えようと決意した2年前にブレインジムの104のコースを学んだ時の内容です。
104のコースではブレインジムの26のエクササイズを体感覚、感情、思考との関連で一つずつ学んでいきます。
体感覚は前後の動き、感情は上下の動き、思考は左右の動きと関連があります。
春になって新しい世界に進まれる方も多いと思います。そんな希望と不安が混ざった時期にこそ、ブレインジムがお役に立てば幸いです。