前回に引き続き、オーストラリアのタスマニアで学んだクラニオセイクラルセラピーについてご紹介します。
今回は、このセラピーが特に役に立つ顎関節症とバーストラウマについて、サラ先生にいただいたテキストと講習での経験を交えながらお伝えします。
1) 顎関節症
顎関節症自体を自覚していなくても、顎や首周りが緊張している方は多いそうです。
この部分は感情の影響を受けやすく、特に感情が麻痺しているような場合に症状が出やすいと聞きました。
また、顎と骨盤がともにUの字を描く構造をしていることから、遠く離れたこの二つの部分には深い関係があるということです。(顎と骨盤の関連性は、フェイシャルリフレクソロジーでも同様の見方をします。)
そこで、クラニオセイクラルセラピーで顎周りの緊張がほぐれると、お腹周り、腰周りの緊張もほぐれることになり、肉体面だけでなく感情面でもよい影響が起きる可能性があります。
<頭蓋のタッチと静止点>
顎関節症に働きかける施術では、下顎骨や側頭骨の動きを感じていきます。
頭蓋骨はゆりかごのような微細な動きをしていますが、通常、足の方向か頭の方向かどちらか一方により強く動くパターンがあります。
その方向へさらに動いていくようタッチした箇所に働きかけます。(実際に圧をかけるのではなく意図します。)
すると、これ以上この方向へは動けない、という点でその動きが止まる感覚があるので、そこでしばらく静止します。
この静止点で滞りの解放が行われます。その後これまでと反対の動きへ戻るよう促すと、流れがスムーズになり、リズムが安定していきます。
クラニオセイクラルセラピーの基本的な考え方は、クライアントの方のからだの動きに従うことです。
極限までそのパターンに従ったときに解放やヒーリングが起きるという考え方が、からだ本来の再生力・回復力を尊重する方法だと思いました。
2) バーストラウマ
今回一番時間をかけて習ったものがバーストラウマでした。
胎児期から誕生時にかけて、頭蓋・脊椎・仙骨への影響が非常に大きいからです。
胎児期には、脊椎や神経系に関係する原始反射のガラント反射が妊娠20週頃から発達します。
頭を下にして狭い産道を長時間かけて通る誕生時には、頭蓋は骨化しておらず、柔軟な膜や軟骨から成る球体のような状態です。
新生児には頭蓋に生じたダメージを自ら矯正し再生する力がありますが、難産、鉗子の使用などにより歪みが完全に元に戻らない場合は、頭蓋の形が左右対称とならず、脳の発達が妨げられる要因となります。
<頭蓋の歪みとその影響>
赤ちゃんの頭蓋骨はいくつかの部分に分かれています。
・前頭骨(2つに分かれている):8歳頃完全に癒合
・側頭骨・蝶形骨(それぞれ3つに分かれている):1歳までに完全に癒合
・後頭骨(4つに分かれている):3-6歳で完全に癒合
各頭蓋骨の間は膜性の隙間となっており、この部分を泉門と呼びます。
一番有名な頭頂にある大泉門を含め、泉門は全部で6か所あり、生後3か月から2歳までに癒合します。
その他、頭蓋の中央に位置する蝶形後頭軟骨結合は、17-25歳で完全に癒合し、骨盤(腸骨・座骨・恥骨)は12歳までに癒合します。
頭蓋の骨が癒着・癒合する際に歪みが残っていると、各骨の縫合部・関節部分の動きが妨げられ、脳脊髄液の流れの滞りやリズムの乱れが生じることになります。
それぞれの骨は連動して動いているため、1か所でも動きが十分でない箇所があると、頭蓋全体に影響が及び脳の発達に悪影響を及ぼす恐れがあります。
特に、歪みが起きやすい後頭骨を形成する4つの部分は脊髄が通る管(大後頭孔)を囲んでいるため、この部分に歪みが生じると、脳へのダメージが大きくなります。
頭蓋と脳が極端にダメージを負うと、脳性まひ、自閉症、発達障害、学習障害、てんかん、強迫性障害などにつながるケースが多いですが、それほど重くなくても、学力や性格、健康状態(消化、心肺、免疫力、頭痛)、感覚器官(目・耳)、からだの協調(手足)に影響が及びます。
ただ、頭蓋が癒合し十分に発達するまでに時間がかかること、また、脳の機能障害はある程度成長してから出現することから、頭蓋の歪みの問題は見逃されやすいということでした。
<口のワークとへその緒ショックのワーク>
バーストラウマに関するワークは2つありました。
①口のワーク
上の前歯の奥の歯茎に指を当てると、その上に存在する骨が、鼻中隔の下部分を形成する「鋤骨(じょこつ)」です。
この骨は感情の影響を受けやすく、バーストラウマの影響が表れやすいそうです。
実際、私はこのワークの時、水に溺れるイメージで恐怖心を感じ、何かにつかまりたい衝動に駆られました。
目が覚めた時、顔色が悪かったのか先生が声を掛けてくださり、自分の経験を話したところ、バーストラウマの記憶ではないかと言われました。
②お臍のワーク
口のワークに続いて、お臍のワークを行いました。
へその緒が切られることがショックになることもあるらしく、口とおへそに残る記憶はその後の人生にずっと残る根源的なパターンとなり得ます。
その記憶はおへその中に何層にも残っていることがあるようです。私も深い層で何かが解放されたように感じ、こちらはとてもリラックスできる経験でした。
<気づきとまとめ>
このように、顎ー口ー臍ー腰には関連性があり、誕生時の記憶と感情が無意識のレベルで深く眠っている可能性があります。
人によっては不快な記憶を呼び覚ます恐れがあり、口やお臍のワークは慎重に行う必要がある一方で、顎に存在する無意識のストレスを解放することは、よりやさしい施術でお勧めできるのではないかと思いました。
私はこれまでストレス下で発達障害のような症状が現れたことがある他、ブレインジムを学ぶ中で手と目の協調などからだの動かしにくさや恐れの感情を持っていることに気づいていましたが、もともとの原因が誕生時のバーストラウマだったかもしれない、という気づきは目から鱗で、講習での学びは理論的にも感覚的にも貴重な経験になりました。
クラニオセイクラルセラピーで鍵となる、蝶形後頭軟骨結合の癒合は17-25歳であるということから、若い方に受けていただくと効果的ですし、その年齢を過ぎていてもよい影響があるのではないかと思いました。

<当ブログを読んでくださった方への特別なご案内>
現在当サロンではオーラソーマ®プロダクツを使用したクラニオセイクラルセラピーのセッションをご提供しておりますが、今後、今回習得したスキルを盛り込んだ内容に更新する予定です。
セッション内容更新までの間、今回習得した内容に限定したクラニオセイクラルセラピーのモニターセッションを実施しております。
頭蓋と仙骨のタッチに時間をかける他、顎関節症など顎に特化した内容が含まれております。
上記ブログに記しております口のワークは行いませんが、ご希望によりお臍のワークも行います。
料金は30分5,000円で、終了時期は未定ですが、予告なしに終了する可能性がございます。
カウンセリングやオーラソーマ®プロダクツの使用等、通常のクラニオセイクラルセラピーのセッションで行う内容は含まれておらず、クラニオセイクラルセラピーの手技だけを行います。
ご興味のある方は、お問い合わせ欄よりお問い合わせくださいませ。